20世紀はビタミンの時代、21世紀はアミノ酸の時代 ― 2006/03/07 18:11
この週末は、篠山市で行われた篠山ABCマラソンを走りました。おかげで今日もまだ筋肉痛が激しいのですが、これでもサプリメントのおかげでかなり軽減されているはずと思います。
私が愛用しているのはアミノバイタル・プロ(味の素社製のアミノバイタルシリーズの一商品)。アイアンマン・レースやマラソンのレース前、レースの途中、フィニッシュ後に使っており、トレーニングがよくできているときには筋肉痛をほとんど感じることなく、自分の力を充分発揮することができるという実感を得ていますし、トレーニングが不足の時には身体のダメージを小さくしてくれると思います。
きっかけは、エベレスト登頂に成功した登山家のお話を聞いたことでした。長期間かけて行う高所登山では、体脂肪だけでなく筋肉までもが消耗して、下山時には十数kgも体重が減ってしまうそうですが、アミノバイタル・プロを使うと、疲労や筋肉の消耗が軽減できるので、頂上への最終アタックの際にも携行しているということでした。そんな過酷な状況で効果のあるものなら、是非試してみたいと思い、2003年のアイアンマン・レースで使ってみました。すると、レース中の筋疲労が激減し、自己ベストで完走できたばかりか、レース後の筋肉痛もほとんど起こらなかったのです。
筋肉は水分を除けばほとんどがタンパク質でできていますが、その35%が「分岐鎖アミノ酸」(BCAA:Branched Chain Amino Acid)という種類のアミノ酸で構成されています。BCAAとは、ロイシン、イソロイシン、バリンの3種類で、特殊な分岐構造をもつためにこのように呼ばれています。スポーツなどで筋肉を使うと筋肉の細胞が壊れるので、それを修復する材料としてアミノ酸やタンパク質が必要になります。そこで、BCAAを摂取すると、筋肉がすばやく修復され、疲労回復が早まります。
また、体を動かすエネルギー源には、ふつう炭水化物や体脂肪が使われますが、無理なダイエットや長時間の運動で体内の炭水化物が不足すると、内臓や筋肉をつくるタンパク質が分解され、遊離したアミノ酸がエネルギー源として使われます。文字通り、身を削ってしまうのです(脂肪は体内に大量にあるものの、代謝の関係で炭水化物の枯渇した状態では利用できません)。エネルギー源として筋肉で利用されるアミノ酸は主にBCAAなので、運動前や運動中にBCAAを摂取すると、筋肉内のBCAAの分解が少なくてすみ、長時間の運動に耐えることができます。アミノバイタルも主成分はBCAAです。
BCAAは脳の疲労に効くことでも注目されており、適切に摂取すると、脳の疲労を予防・軽減して、読書やデスクワークにも役立つと言われます。集中力や気力を保つという点で、マラソンやトライアスロンなど長時間のレースにおいても効果が期待できます。
ただし、脳の機能アップのためにアミノ酸を摂りたいというときには、ちょっとした注意が必要です。脳に栄養や酸素を供給する毛細血管には関所のような構造があり、食べたものがなんでもそのまま脳の中に入るわけではありません。この構造は文字通り「血液・脳関門」とよばれていて、体の他の部分にはない脳だけの特徴です。脳は特別な器官ですから、毒物の侵入を防ぐために関門があるのですが、同時にいろいろな栄養物も簡単には通らなくなってしまっています。アミノ酸は、特殊な輸送体(関門を通るための乗り物)と結合して関門を通過するようになっているので、特定のアミノ酸の摂取が極端に多かったり少なかったりすると、他のアミノ酸の取り込みが影響を受けます。
「20世紀はビタミンの時代、21世紀はアミノ酸の時代」ともいわれ、飲料や食品などでヒット商品が生まれ、いまやすっかり定着した感があります。ただしアミノ酸の代謝は非常に込み入ったものですから、長期にわたって特定のアミノ酸ばかりを摂取をすることは避ける方が賢明です。アミノ酸サプリメントは、有効性、安全性、品質をよく見極めたうえで、「ストレスや疲労が著しい」、「減量中でエネルギーを抑えながらタンパク質をしっかり補給したい」といった場合、あるいは激しいスポーツの前後などに利用し、基本はやはり毎日のバランスよい食生活にあることをお忘れなく。
今回は、アミノ酸サプリメントについて少し詳しく述べてみました。「血液・脳関門」とアミノ酸については、近著「子どもの脳を育てる栄養学」(京都大学学術出版会)もごらんください。http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4876988021/qid=1141722925/sr=1-1/ref=sr_1_10_1/250-8856268-8576247
写真は、バンクーバー空港で時間があれば必ず食べるスモークサーモン。サラダの上にサーモンが山盛りのっていて、ベーグルのチップスとクリームチーズが添えてあります。サーモンもチーズもタンパク質豊富。私にとってアイアンマンの疲労回復には、これも欠かせない一品です。


