札幌へ2009/03/17 20:55

2008年9月2日撮影 カナダアルバータ州のプレーリー

前回の更新から、あっという間に3週間近くがたってしまいました。
いろいろなできごとが起こってあわただしくも、気持ちは充実した毎日でした。年度末ですので、きっと世間中があわただしいことと思います。花粉とともに黄砂も舞っていますし、三寒四温と言われるとおり気候が変わりやすい季節です。どうぞみなさま体調にはお気をつけください。

【2月28日香川県丸亀市へ】 
香川県丸亀市は香川労災病院の取材に行ってきました。取材レポートは、「ナーシングビジネスNuesing BUSINESS」2009年7月号(2009年6月中旬刊行予定、メディカ出版刊)に掲載されます。午前中から夕方まで濃密な取材で、一度聞いただけではなかなか理解できない専門的な話もありましたが、看護師さんたちの仕事に対する熱意に勇気づけられた1日でした。取材をサポートしてくださった事務次長が偶然、北海道出身の方で、同郷のよしみもあって非常によくしてくださり、週明けの月曜日にはフォローのお電話までくださいました。それほどに、難しくていっぱいいっぱいになってしまった取材だったので、本当にありがたく思いました。

【3月1日 金比羅参り、お遍路トレラン】 
せっかく四国まで行ったので、高松に1泊しました。四国は学生時代に友人と旅行して以来、18年ぶり(?)。当時は3泊ほどで四国をぐるりとめぐったのですが、今回は香川県のみ。早朝から琴電に乗って金刀比羅宮へ参拝し、「幸せの黄色いお守り」を購入しました(18年前にこんなモノはなかった!)。おみくじは予感どおりの小吉。でも「引っ越しは吉」に、喜び。
前日は取材がいっぱいで食べ損ねてしまった名物の讃岐うどん、今日こそはと金比羅さん参道口のうどんやさんで食べました。強力な腰のある冷たいうどんにとろっとした温泉たまごを添えて、大満足! 続いてJRで移動し、トレイルラン下見を兼ねてお遍路道(札所80番国分寺~82番根来寺)を歩きました。やはり瀬戸内地方は季節が早いですね。梅や桃は散り初め、桜が咲き始めていてびっくりしました。根来寺の近くからは瀬戸内海を見渡すことができました。
四国八十八カ所の本を片手に歩いたのですが、一部わかりにくいところがあり、どうやら遠回りをしたようで最後は時間がおしてしまい、もう一度うどんを食べるつもりがかないませんでした(涙)。トレイルランニングのコースとしては、なかなかおもしろいと思いました。

トレイルランニングといえば、「トレイルランナー 2009年春号」がちょうど先週、校了しました。3月22日頃、発売予定です。今回から関西トレラン通信という見開きのページを担当しています。今号では、1月に行った奈良の柳生街道などを取り上げています。お近くの書店、または出版社のホームページでお買い求めください。
ノースランド出版トレイルランナー
次は秋号になるのかもしれませんが、お遍路道もいつかとりあげてみたいです。四国は遠いように思っていましたが、京都から新幹線を使い岡山でJR特急に乗り換えて行くと丸亀までわずか2時間ほどで着いてしまいます。新幹線は瀬戸大橋を通って行きますけれど、淡路島を通る高速バスに乗る方法もあります。京都・大阪からなんとか日帰りでも走りにいける関西圏のトレイルと言ってよいでしょう。

【3月2日~9日 東大寺二月堂お水取り】
今月も毎週、カナダスノーネットのニュース更新を行っています。http://www.skinet.jp/canadasnownet/
おおむね月曜日に現地サイトを調べて書いていますが、この頃はどういうわけか、ウィスラーのニュース原稿を書き終わった頃に「Snow alert(大雪情報)」のメールが届きます。現地は日曜日なので、なにか週末に雪が降る周期にはまっているのでしょうか? バンクーバー2010パラリンピックまで、あとちょうど1年です。

3月9日、今週のニュースを更新したあと、夕方から奈良・東大寺のお水取りを見に行ってきました。京都に住んで以来、念願だったお水取り。厳しい寒の戻りの季節に、奈良まで出向くのは大変だなという思いこみがあってずっと行きそびれていました。柳生街道を走った折り、意外に東大寺は近いことがわかり、思い切って行ってみました。天気予報をみてこの日なら晴れと思って行ったのに、この日に限っての大雨。でもおかげで人出がやや少なめで、かなり前の方でおたいまつを見ることができました。火の粉はかからないものの、かなりの迫力! 二月堂椿を模した土鈴を記念に買いました。

この週、私にとっては、日頃お世話になっている方のご紹介で、非常におもしろそうなお仕事の打診をいただいて面接を受けたり、家族にとっては、いよいよ札幌での新しい仕事が決まったりと、今後何年かの生活に関わる大きなできごとが動いた時期でした。
とうとう、私たちは北海道移住(私にとってはUターン)の第一歩として札幌への転居に向けて動き始めました。金比羅さんによれば、引っ越しは吉ですからいよいよ好機がめぐってきたのでしょう。
3月8日は、私たちも過去何度か走った京都シティハーフマラソンでした。今年は沿道から応援です。京都市内を走るこのハーフマラソンは、京都市内外のランナーに大人気ですが、今年でいったん区切りをつけて、再来年からフルマラソンとして再スタートすると言われています。東京マラソンに対抗してのことでしょうか。ハーフマラソンのほうがたくさんの人が気軽に出られるのに・・・と思います。いろいろな意味でこれが最後と思うと、エントリーすればよかったなとさみしい気もしました。

【3月10日~13日札幌へ・・・】 
住まいを探しに、札幌へ帰省してきました。初日に不動産屋さんでいろいろ探していただき、とてもよいところを見つけることができました。札幌の中心地に近い円山公園のすぐ近くです。円山は北海道神宮や動物園があり、スキージャンプ台のある宮ノ森や大倉山もすぐ近くです。円山には、お地蔵さんの八十八カ所もあります。山が近くて地下鉄の駅からも徒歩3分。となりの駅前には、4月に新しいコナミスポーツがオープンするのでさっそく会員になりました。千歳空港からは直行の空港バスで約1時間です。札幌に引っ越しても、1,2ヶ月に1度は関西や関東に打合せや取材で足を運ぶつもりです。
いくつかの家電も買いそろえ、引っ越しの実感がわいてきました。

【3月14日京都トレイル&花灯籠】 
1月のランニングイベントで知り合った女性の方が、初トレイルラン挑戦で京都に来てくださいまして、久しぶりに京都東山トレイルを走りに行きました。午前中まで雨が降り続き、心配しましたが、待ち合わせ時間にはきれいに晴れ、花粉もぬれた地面に落ち着き、気持ちよくトレイルを行くことができました。大文字火床からは京都市内はもちろん、桂離宮、京橋あたりの高層ビル群までくっきり。尾根を走って南禅寺境内に降り、哲学の道を銀閣寺道まで戻りました。友人の案内で、吉田山(京都大学の裏手にあり、節分祭で有名な吉田神社があります)の尾根上にある喫茶店で休憩しました。こんなところに喫茶店があるとは、いままで21年間も近くに住んでいたのに知りませんでした。テーブルについたまま、東側の窓からは大文字、西側の窓からは京都市内と西山を同時に望むことができるめずらしい場所です。感激しました。

この日はもりだくさんの京都観光。夕方を待ち、前日から始まった東山花灯籠にくりだしました-と言っても、トレイルランの服装そのまま(南禅寺で観光客の人に「この先は道がそんなに悪いんですか」と聞かれたほど、足下はどろんこ!)、電車に数分乗ったところが清水道です。八坂の塔、高台寺、ねねの道と進むに従い、大変な人出。もともと観光客の少ないこの時期に集客を期待して始まったイベントですから、大成功と言えるでしょう。途中、キツネの嫁入り行列が通ったり、ホットワインを売る人がいたり、地元の子どもたちによるお囃子があったりとにぎやかで、そして灯籠やライトで照らされた寺院や石畳、生け花は幽玄です。
この時期は夜になるとまだまだ冷え込みが厳しいのですが、機会がありましたらぜひ暖かい服装でお出かけください。京都花灯籠

【3月15日~私は卵?】 引っ越し業者さんの見積もりや、不動産屋さんの案内で私たちのマンションを見に来るお客さんが、出入りしています。大学入学のためひとりで京都に来て以来、もうすぐ21年です。札幌に帰ることになり、信じられない気がしますが、なんだか京都での年月がなかったかのように札幌にすんなり戻れそうな気もします。
いま経過中の仕事に区切りをつけ、引っ越しの準備をするため、私は5月の連休あたりまで京都にいます。もっとも、5月15日(金)、16日(土)には大阪天満橋のドーンセンターにて、 「出版ネッツ関西・2009フェスタ」に参加予定のため、この週末に合わせてさっそく京都に戻ってくることになりそうです。フェスタでは、ワンコインセミナーと題して500円の参加費で聴講できるセミナーがたくさん開催され、私もそのうちのひとつの講師をお引き受けしています。タイトルは、「フリーランスの仕事つくり術」~下請けでなく、フリーエージェント(事業主)になる。

ほかに仕事内容の展示や名刺交換会があり、今後、札幌で今まで通りの仕事を続けていくための大事な営業の機会と捉えています。
3月上旬に受けた面接、京都市内で毎日通勤することが必要です。キャリアアップ、スキルアップの意味でも、大きな魅力のあるお仕事で悩んでいますが、私はフリーエージェントの生き方が好きですし、今に至るまで築いてきた仕事上の人脈、つながりはなにより大切です。両立は難しそうです。

2月に、エルサレム賞の授賞式で村上春樹氏が行った記念講演「壁と卵」が話題となり、久しぶりに本棚から氏の本を出してきて読みました。「遠い太鼓」。
これは、私が1997年に勤めていた出版社を辞めたとき、アシスタントだった女性がプレゼントしてくれた本で、当時も「村上春樹って、おもしろいな」と思ったのを覚えていますが、改めて読み返してびっくり。
不遜を承知で言えば、遠い太鼓の音に導かれ、40歳になるまでの3年間をヨーロッパで旅するように生活したハルキ氏(本書はその紀行文)に対して、ちょうど40歳で3ヶ月の世界一周の旅に出て、その後札幌へ住まいを移そうとする私。一人、共感してうなずきながら読みました。彼女はいまの私を預言して、この本をプレゼントしてくれたのでしょうか。

おもしろかったのは、ハルキ氏がかなりの期間住んでいたイタリアについて「ボロかす」に書いていることで、1週間のイタリア滞在でこてんぱんになった私としては溜飲が下がる思い。さらには、テレビで見たイタリア語吹き替えの映画で、イタリア語が似合っていた俳優はポールニューマン、というのにも大賛成。ミラノのホテルで「スティング」を見て、妙にしっくりなじんでいたのを思い出します。英語よりかっこいい! ハルキ氏いわく、イタリアで一番おもしろかったテレビ番組は天気予報だそうですが、私としてはサッカー番組が第1位。ちっとも試合が映らなくて音声だけが流れて、美人で派手な服装のイタリア人女性と、解説者らしい男性二人という組み合わせで、やいのやいのと言い合うのです。女性は二人の間に立って、どうやら仲裁している模様。一つの局だけでなく、あちこちの局で同じように3人組の言い合い番組が流れているのがますます笑えます。どうやら中継権がない局でもサッカーを扱いたいということで、ラジオのように試合の音だけ流して、あとは応援するチームの身びいき、相手チームのこきおろしを、美女をはさんで感情的に言い合うという主旨のよう。
ボローニャに留学中の友人に聞いたところ、あの仲裁役の美女は大変な人気の職業だそうで、すごい倍率を勝ち抜いてはじめて選ばれるのだとか。
こてんぱんにやられたイタリアも、時間がたつと懐かしく思えます。あの旅行の経験を咀嚼して、私なりの紀行文か、そうでなくても何か文章の背景に流れる太鼓の音のように、生かしていきたいと思います。

写真は、旅の中でもとくに気に入った景色のひとつ。カナダのプレーリーでの牧草地帯。

村上春樹氏の講演はあちこちのサイトで読むことができます。
ハルキ風の翻訳
村上春樹イスラエル批判講演と中川失態報道

3月15日NHK BSで、世界のドキュメンタリー「いのちの声 ~コロンビア 誘拐被害者へのラジオ放送~ 」を見ました。政府寄りの見方ではありますが、コロンビアの現実を一つの側面から伝えた希有なドキュメンタリーでした。 再放送があればぜひご覧ください。

コロンビアの動植物2009/02/26 18:24

標高3160mで見た花(コロンビア、ボゴタ、モンセラーテ山)

本格的な花粉飛散シーズンとなりました。関西では昨年の2倍以上の花粉量が予想されているとか。ニュースを聞くだけでもゆううつです。
今年は、いまのところマラソンやトライアスロンのレースに全く申し込んでいないのをいいことに、あえてこの時期、花粉を吸い込みに外へ走りに出かけてはいないのですが、それでもやっぱり症状が・・・・なんとかマスク・点鼻薬・目薬の3点セットで乗り切りたいです。飲み薬はどうしても眠くなったり、集中力が落ちたりしてしまいますから。
今週末は久しぶりに国内の取材出張があり、行き先は香川県丸亀です。瀬戸内海地方は暖かく花粉も多いのではと恐れつつ、花粉予報を調べてみると、どういうわけか四国4県の中でいつも香川県だけ他の県よりちょっと花粉が少なめの予報が出ています。樹種が違うのでしょうか。理由はなんであれ、うれしいです。
Yahoo花粉情報

今週の写真は、ボゴタ(コロンビア)の観光名所モンセラーテ山(3160m)で見た花。何ていう花なのか、ご存知の方がいらっしゃれば教えてください! 葉も茎も真っ白で、葉をさわってみると、細かい毛が生えていて ビロードのようになめらかでやわらかい手ざわりです。標高が高いので、日光から身を守るために白いのかなと思うのですが、周りの他の植物は見たところ高山植物という感じでもないのでどうなのでしょう。教会につづくプロムナード沿いに植えられていた花ですが、少なくともこの高地という環境で生きられる植物です。
コロンビアに来る前に旅していたカナディアンロッキーとくらべると、コロンビアの高地の豊かな植生に驚きます。たとえばジャスパーのマリーンレイクを望むオパールヒル(標高2160m~)では、森林限界を超えまばらに灌木が生える草地であり、その上に粉砂糖を振ったチョコレートのような山頂が見えていました。モンセラーテ山は、緯度が低いこと、そして降水量が多い点で、同じ高地といってもジャスパーとは異なります。

緑色植物は光合成で有機物をつくって生きているわけですが、強すぎる光は苦手です。光合成は、明反応と暗反応のふたつの反応から成り立っていて、日光が使われるのは明反応だけ。暗反応では光が不要で、ここでは酵素反応が起こっているので酵素が効率よくはたらくためにある程度の温度が必要です。日光が強いのに気温が低いところでは、明反応ばかりがすすんで暗反応のところで詰まってしまい、オーバーヒートを起こして体の組織が壊れてしまいます。
標高が高いところや緯度が高いところでは、季節によって日光が非常に強く、それに対して気温が低いので、「冷害」が起きます。冷害といっても、本当に害を起こしている原因は光です。

ともあれ、この花が冷害に対してこのような形態に進化したのかどうかわかりません。モンセラーテ山頂上には、他にも色とりどりに花が咲き、ハチドリが飛び、美しい教会とにぎやかな蚤の市、おしゃれなレストランが建ち並んでいます。モンセラーテの向かい側にそびえるグアダルペ山(Guadalupe)はさらに高い標高3316mですが、こちらも頂上に大きなマリア像が建てられています。コロンビアの人の信仰の篤さと、建築技術(というか、こんなところに町をつくってしまうような、なんというか力強さ)をつくづく感じました。

建築技術といえば、この山へかけられたフニクラ(funicular)とよばれるケーブルカーも見ものでした。山頂まで、一気に上ります。勾配が50度以上はあろうかという絶壁にしがみつくようにかけられていて、見た目には遊園地のフリーフォール(垂直に落下する遊具)そのものです。ボゴタの市内の標高がそもそも約2600mあり(これは南米の都市の中では3番目に高い標高)、標高差500mほどを、2,3分だったでしょうか、ともかく一気に昇降するので、かなりの恐怖です。率直に言って、このときはまだコロンビアがどれほどの先進国なのかということを知らなかったので(いまでもよく理解しているわけではありませんが)、「大丈夫かなあ」と本当に不安でした。もっとも、かなり古そうなケーブルカーだったので、長きにわたって事故がなかった証拠とも言えるのですけれど。

モンセラーテ山へ行くには、ボゴタの市街からCarrera7という山手へ続く道路をまっすぐ走ると、やがて綿菓子や焼きトウキビ売りの屋台が並ぶ駐車場が見えてきます。海外からの観光客も訪れる観光地なので、武装兵士が警備していて「安全な場所」です。駐車場のすぐそばにケーブルカーとゴンドラの乗り場があり、モンセラーテ頂上まで歩いて登るための遊歩道もつけられています。標高が標高なので、じっとしていてもちょっと息苦しいですから、歩いて登るかどうかは慎重に判断したほうがいいでしょう。ケーブルカーとゴンドラは、どちらも片道6700コロンビアペソです。私たちが着いたときには、ゴンドラは休業中で、いやおうなしにケーブルカーに乗ることになってしまいました。復路は逆に、ケーブルカーが休業していて、ゴンドラしか動いていなかったのでほっとしました。

世界一周旅行で訪れた国の思い出は、日がたつほどにいろいろな場面がよみがえってくるのですが、とくにコロンビアは見るものすべてがめずらしく、しかも今後なかなか再訪する機会がないと思うだけに、懐かしく思い出します。

最近、コロンビアに関連して興味深いニュースがふたつありました。
一つは世界最大のヘビの化石が見つかったというもので、これは世界最大の脊椎動物化石でもあるそうです。 http://excite.co.jp/News/odd/E1233806973014.html
ティタノボア・セレホネンシス(セレホンの大蛇)と名付けられたこの生物は、体長13m以上、体重は推定約1140kgもあるのだとか。生息していたのは5800万~6000万年前。この頃、アンデス山脈はどんな状態だったのでしょう。

もう一つのニュースは、カエルなど新種の両生類10種が見つかったというもの。
http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/environment/2567156/3750173
「パナマとの国境に近いコロンビアのダリエン(Darien)山脈タカルクナ(Tacarcuna)丘陵で、オレンジ色の脚をもつアマガエルや毒ガエル3種、体が透き通ったカエル3種など、計10種の新種とみられる両性類が発見された。環境系の国際非政府組織(NGO)、コンサベーション・インターナショナル(Conservation International)とコロンビアのNGO、エコトロピコ基金(Ecotropico Foundation)の科学者らが2日、明らかにした。」(AFPBBNews)
http://www.conservation.or.jp/Newsroom/Press_Release/2009_02/colombiafrog.htm
http://www.conservation.org/newsroom/pressreleases/Pages/Amphibian-species-discovered-Colombia.aspx

ユニークで魅力あふれる動植物がすむコロンビア。日本・コロンビア修好百周年(昨年5月)を機に、エルドラド展が東京で開催されたりしましたが、黄金だとかコーヒーだとか以外の側面も、もっとテレビや雑誌などで紹介されたらいいのにと思います。「世界遺産」をとりあげる番組では、南米といえばやはりマチュピチュやイグアスの滝がメインですが、コロンビアにも世界遺産カルタヘナがあり、文化人類学的にも、自然科学的にも興味深いところです。ガラパゴス諸島にも近い国です(エコツアーはエクアドルから出発になりますが)。コロンビア人の友人一家が私たちを招き、歓迎してくれた思いにこたえるには、少しずつでもこの国の良さを伝えることだと考えています。

コーヒーの話(1)2009/02/08 15:13


世界一周旅行の思い出、今日はコーヒーの話です。 前々回、スローフードのところでは「チーズとワインが好き」と書きましたが、もうひとつ私が毎日欠かせないのはコーヒーなのです。旅行中、ワインとチーズに関してストレスはまったくありませんでしたが、コーヒーに関しては旅行中よくも悪しくもいろいろな思い出がありましたのでそれを書いてみます。

写真は、9月のコロンビア(南米)旅行からです。首都ボゴタから車で約1時間、50kmほど離れた町シパキラ(Zipaquira)へ「塩の大聖堂 Catedral de Sol)」を見学しに行き、その帰路、コロンビア最大(おそらく)の食品メーカー「アルピナ(Alpina)」のテーマパーク(?)にデザートを食べに立ち寄りました。
コロンビアのスーパーで、乳製品など冷蔵の加工品はほとんどがこのアルピナの製品と言ってよいほどです。その背景には同社がコロンビア政府により2006年から向こう10年間、「法的安定性確保法の枠内で法制度の安定性を投資家に保証する」との契約を受けていること、すなわちこの国で政府の保護を受け安定して企業活動ができるという事情があるようで、いずれにせよ冷蔵食品売り場がほぼ一社の製品で占められているというのはかなり違和感がありました。

ともあれ、アルピナのテーマパークは大勢の家族連れ、観光客でにぎわっていて、ファーストフードのようなカウンターにレジがたくさんならんでいて、そこでデザートを注文する人の列ができていました。他に、アルピナの製品を買えるコーナーと、コーヒーのカウンターがあり、コーヒーの方は、これもコロンビア政府公認「国立コーヒー生産者連合」(Federacion Nacional de Cafeteros de Colombia)直営カフェテリア、「Juan Valdez」です。コロンビアコーヒーのイメージキャラクターである「ロバを連れたおじさん(この人がJuan Valdez)」のロゴは、きっと目にしたことがある人もいらっしゃるでしょう。このロゴは、正真正銘コロンビアコーヒーであることを示しています。

コロンビアで一番ポピュラーなコーヒーの飲み方はTinto(ティント。「少し」の意味)で、イタリアのエスプレッソにも似ていますがエスプレッソよりはもうすこし量が多く、もう少し薄目です。ざっと70~80ccほどのちょっと濃いめのコーヒーです。ティントを飲むための小さなコーヒーカップもティントと言って、エスプレッソ用のデミタスカップのようなものですが、お皿はついていなくてもっと気取りのない、ふだん使いのカップという感じです。

このティントという飲み方で飲むコロンビアコーヒーのおいしいこと! お店では、エスプレッソマシーンのような専用の機械でいれてくれます。家庭では、ふつうのコーヒーメーカーでいれることもありますし、ティントで飲むには、(最近日本でも知られはじめている)プレス式ティーメーカーでいれていました。
お店で飲むティントの値段は、1300ペソほど(50円くらい)、空港でも1USドル(90円くらい)。ほかにも、Cafe Longo(カフェロンゴ)といって、これはイタリアにも同じ飲み方があるようですが、エスプレッソのように濃厚にいれたコーヒーに、好みの量のお湯で割ってふつうのコーヒーのようにして飲むものです。喫茶店では、ウェイターの人が専用のポットでお湯を入れてくれて、とてもおいしかったです。ふつうのコーヒーもありますが、関心をもってメニューを見なかったので覚えていません・・・あしからず。

そして写真でコーヒーの横にあるアルピナのデザートは、味付けしていないカッテージチーズにアプリコットのようなジャムをかけたAlpinino Con Melocというもので3550ペソ(140円くらい)、ほかにイチゴの甘いソースをかけたメレンゲMerengon de Fresa(4000ペソ)などが人気でした。コロンビアでは食事としてもデザートとしてもチーズをよく食べるようで、いろいろな種類が売られています。淡泊なモッツアレラチーズにピーナッツバターのような濃厚な甘いペーストをつけて食べるデザートもポピュラーで、アルピナではLeche Asadaというもので1食2600ペソ(約100円)で売られていました(写真は以下に)。アメリカやカナダのデザートは、砂糖がじゃりじゃりするような食感で甘すぎるものが多いですが、コロンビアではあっさりしたチーズやフルーツが主体となったものが多く、ヘルシーな感じがします。チーズ好きの私にはぴったりでした。

コーヒーに話を戻しますと、当然ながらコロンビアでは「Juan Valdez」のお店や、同じく喫茶チェーン店のOMA EXPRESSなどでしばしばティントを飲み、ホームステイ先のローラちゃん宅ではメイドのエストラージャさんに何度もコーヒーメーカーでコーヒーを入れてもらい、そしてJuan Valdezでお土産用に数kgものコーヒー豆を買い、ティント(カップの方)も買い、旅行中ずっとそれを持ち歩いたのでした。

世界一周旅行の前半は、カナダ、コロンビア、そこからヨーロッパへ移動しました。
カナダではどんな宿泊先でも、コーヒーメーカーがついていて自分で好きな時に好きなだけ飲むことができるか、宿のホストがおいしいコーヒーを入れてくれるか、どちらかです。コロンビアは上記の通りです。
ヨーロッパ最初の滞在国スイスでは、主に食事付のユースホステルか自炊のできる宿に泊まりました。ユースホステルの朝食時には、コーヒーマシーンを自由に何度でも使うことができます(朝食時以外は有料)。コーヒーの種類は、エスプレッソ、ふつうのコーヒー、デカフェ(カフェインレス)などで、もちろん私はエスプレッソをダブルでいれて、おかわりもして、毎朝大満足に過ごしました。スイスのコーヒーはおいしいです。マッターホルンの見えるツェルマットの喫茶店と、サンモリッツの湖畔の喫茶店でもコーヒーを飲みました(写真は下に)。サンモリッツでは、Kaffee Crene(クリーム入りコーヒー。ドイツ語なのでKaffeeです)が3.60スイスフラン(当時360円、今のレートなら290円)でした。濃く泡だったコーヒーとミルクがたっぷり入っていて大満足。
スイスの次は、いよいよエスプレッソの国イタリアへ。

私は濃いコーヒーが大好き。イタリアでは毎日エスプレッソを飲んで大満足・・・となるはずが、実は正反対で毎日コーヒーのストレスだらけだったのです。理由は、Bar(バール)に行かないとコーヒーが飲めないことと、1杯のコーヒーの量があまりに少なすぎること! イタリアの人は一日に何度も行きつけのバールでエスプレッソをさっと飲んでは、さっと出て行きます。バールの作法がはじめわからなくてこれもストレスだったのですが、どうやらカウンターの隅のレジで注文を言ってお金を払い、レシートをもらい、そのレシートをカウンターの中のマスターに提示して「ウノ エスプレッソ」(エスプレッソひとつ)などと改めて注文を言う。マスターは注文を受けるとレシートをちょっと破ってさっとコーヒーを出してくれる。こういう流れのようです。

たしかに味は悪くありません。でも(私にとっては)味わうほどの量が入っていない! もうちょっと飲ませて! ダブルで頼んだらよいようなものですが、その頃(昨年9月)はまだ今ほどの円高でなく、デミタスにほんの1cmほどいれられたエスプレッソが0.8~1.2ユーロ(出国時に関空で両替した現金払いで140円~210円)でしたから、これを満足いくまで飲もうとしたらそれだけでけっこうな出費になってしまいます。しかも、イタリアについたとたん、何につけてもクレジットカードがつかえず現金が必要で、トイレに入るにも小銭が必要というので、あまり現金をもっていなかった私たちは常に現金不足におびえていたのです。それに、私は朝起きたらまずゆっくりコーヒーが飲みたいのです!
イタリアで宿泊したのは
ミラノ・・・一つ星ホテル (食事なし、レストランやバールの併設なし)
フィレンツェ・・・バックパッカーホステル(レストランの併設あり。朝食は薄くてまずいコーヒーが飲み放題。エスプレッソはひとり1杯のみ)
ミラノでは結局、朝は駅に出かけて列車を待つ間にバールで飲みましたが、列車が全然来ない(3時間待ち)のにバールは「さっと飲んだらさっと出て行く」というところでゆっくり飲めません。フィレンツェの宿にはレギュラーコーヒーの自販機(1杯0.6ユーロ)があり、はじめは「やった!」と思ったものの、エスプレッソのボタンを押したらティントのようなちっちゃなプラスティックのコップに深さ1cmくらいのコーヒーがちょっぴり。「これで100円はないよ~」

私たちはカナダ旅行の間から、自分でコーヒーを入れられるようにフィルターと豆を持ち歩いていました。「そうだ、ドリッパーさえあれば、お湯をもらって自分でコーヒーが入れられる!」
コーヒーメーカーは宿にあるものと思っていたのでドリッパーは持っていなかったのです。
そこでフィレンツェの町で探しました、ドリッパーを求めて。あの漏斗のような三角の器具、できれば持ち運びに便利な軽いプラスチック製の・・・・。ところが探せど探せどないのです。エスプレッソマシーンはよく見かけるのですが、ドリッパーどころか三角のフィルターもありません。「もしや、イタリアにドリッパーなんて売ってないのかも」

ボローニャで留学中の友人に聞いてみました。返事は「イタリア人は、ああいうコーヒーはアメリカ風のものとして嫌ってるから、売ってないですよ」。あーやっぱりね!
結局、エスプレッソの国で私は大いにコーヒー欠乏症になり、次の滞在国ドイツで毎朝、濃くておいしいKaffeeをたっぷり飲ませてもらうまでコーヒーストレスを感じ続けたのです。ドイツではホテルに朝食がついているのがふつうだそうで、コーヒーはポットにたっぷりもってきてくれます。

ちなみに、これも前々回とりあげた「スローフードな人生!」(島村奈津)にはちゃんと書いてありましたが、イタリアのバールは、あんなに忙しくお客が出たり入ったりするようでもやはりスローフードなのです。理由は、1つ「ありとあらゆる多様な注文が可能である」、2つ「会話があり、人と人の交流がある」、3つ「そこで働く人々の個性が輝いている」。 本によれば、地元の人が言うには「コーヒーの注文のしかただけでも少なくとも200通りはある」のだとか。エスプレッソはシングルか、ダブルか。水を添えるかどうか(カフェ・ロンゴですね)、ミルクの量、アルコールを加えるかどうか、またその種類・・・・私がフィレンツェの朝市で買ったグラッパ(ブドウの皮をつかった蒸留酒)も、エスプレッソにいれて飲むカフェ・コン・グラッパという飲み方がバールでは人気だとか。そして、私には少しも長居できないと思えたバールですが、実は地域の寄り合いの場になったり、老人が集まってポーカーを楽しむ場になったり、バールで出す手作りの菓子パンとカフェで毎朝の朝食をとる場であったり、と時間的にも空間的にも人々のくらしに欠かせないものだというのです。
そして人がバールでカフェをのむのは、自宅のエスプレッソマシーンでは出せない香りと味にこだわり、バールの主人との会話を楽しみたいからだと。
その意味で、マクドナルドやスターバックスはアメリカ由来のファーストフード・コーヒー店。ローマのスペイン広場前にマクドナルドが出店するというのにイタリア人が大いに反対したのは、たんにアメリカ文化への反発でなく、決まったとおりのメニュー、マニュアル通りの店員の挨拶、客どうし互いになんの交流もない空間、そういうものをイタリアでは認めたくない、イタリアが誇るバールの文化を大事にしたい、そういう気持ちだったのです。
(アー、そういうことも知らず、私はミラノのマクドナルドでコーヒー禁断症状をやわらげました・・・恥)

11月末から12月の世界旅行後半、オーストラリア・ニュージーランドの旅では、イタリアでの経験を生かし、百均で買ったドリッパーを持参しました。現地で売られているコーヒーは、ほとんどが日本でならエスプレッソ用と言えそうな極細挽きで、ふつうにペーパーでおとすとあまりおいしく入らなかったのですが、それでも毎朝がぶがぶ飲めるだけで大満足。それにこれも旅行前半の反省を生かし、今度はサーモスを持っていったので、毎朝それにコーヒーをいっぱいにしておけばドライブの途中の息抜きに、あるいは眠気覚ましに熱いコーヒーをいつでも飲めて大満足でした。

そして帰国。コロンビアで買ったコーヒーの内、挽いてあるものはやはり極細挽きでペーパーでおとすと味わいがうすい感じです。昨日、ようやくプレス式ティーメーカーを買ってきました。ちょうど、弟がタイに旅行してお土産にと送ってくれたコーヒーがやはり極細挽きだったので、ペーパーでいれたのとプレス式でいれたのとを比べてみました。そしたら、プレス式はとてもおなじ豆とは思えないおいしさ!
「おいしいコーヒーの淹れ方をお教えします。 珈琲豆の専門店 MUCカフェスタジオ 」さんのウェブサイト
見かけはすこし濁った感じで表面に油も浮いています。でもこの油にこそ、香り、甘さがとけこんでいて、まろやかでコクのある香り豊かな味わいになるのです。反対に、私の苦手なコーヒーの酸味はほとんどなくなります。すばらしい!
コロンビアのコーヒー、まだたくさんあります。これからプレス式でいれて飲むのが楽しみです。そしておいしいコロンビアコーヒーを飲みつつ、ブログではもう少しコロンビアのことを紹介していきたいと思っています。そして、せっかく訪れた他の国についても、いろいろ学んで振り返りたいと思っています。

もちろん、美味しいコーヒーがあれば、本の原稿執筆も頑張れるのです!

コーヒーの話(2)2009/02/08 15:11


コロンビアのALPINAで買ったチーズとペースト(Arequipeというキャラメルスプレッド)のセット。トロントでヨーロッパへの乗り継ぎ便を待つ間におやつとしていただきました。
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