北海道の春を五感で満喫2006/06/09 11:55


雨ばかりの印象だった5月が通り過ぎ、6月になりました。京都は昨日、梅雨入りです。

約1週間、北海道に帰ってきました。更新が滞り、毎週ごらんくださっているみなさまには申し訳ありませんでした。
6月の北海道はさわやかな新緑と花の季節を迎えていました。今回は、千歳を出発して道南をめぐる2泊3日の小旅行をし、その翌日には千歳市内で行われたフルマラソンの大会に出てきました。
小旅行1日目のルートは、支笏湖、昭和新山、洞爺湖などに立ち寄りつつ、函館まで。洞爺では、2000年の有珠山噴火による被災の跡が生々しく残っているのを目にしました。しかし、遺構を間近に見ることができる散策路が整備される一方、土石流で通行止めとなった場所の横には新しい道路が敷かれるなど、強い復興の力を感じました。旅行中は、北海道のくらしは大きな自然とともにあることを、改めて何度も確認したように思います。この日は函館の漁師宿に宿泊。晴天に恵まれ、函館山からすばらしい夜景を見ることができました。

翌日は函館朝市、金森赤レンガ倉庫、元町の石畳と教会群など、港町の風情と明治・大正期の歴史的建造物が生む異国情緒を併せもつ函館西部エリアを駆け足で見学しました。
大沼公園で遊覧船から見た駒ヶ岳(写真)は、なぜかオーストラリアのウルル(エアーズロック)を思い出させます。駒ヶ岳は火山、ウルルは堆積岩の一枚岩と、成り立ちはまったく異なるのですが。駒ヶ岳は平成に入ってからも何度も噴火を繰り返している活発な活火山で、奇妙な山の形は噴火によって山頂が吹き飛ばされたり、火口が埋められたりしてできました。駒ヶ岳のある鹿追町のHPでは、駒ヶ岳についてわかりやすい解説を読むことができます(http://www.town.shikabe.lg.jp/himitsu/)。午後は一路、ニセコへ。
小旅行の最終日。この冬の記録的な大雪のため雪解けが遅く、地元の農家の方は今の時期になってようやく田植えや種まきができるようになりました。遅れを取り戻すため、早朝から夜中まで働いておられる姿をあちこちで見かけました。やわらかく耕された畑の土に朝日があたると、土の中の水分が水蒸気となって立ち上り、一面、靄がかかったような景色が広がります。冬には見慣れた羊蹄山も、残雪の白と青黒い山肌のコントラストが珍しく、初めて見る山のようでした。ニセコの宿では、タケノコ(本州の筍とはちがい、笹の子です)、ウド、タラノメなどの山菜が出て、ニセコの春を五感でいっぱいに味わいます。これも大雪のために例年より大幅に遅れて開通したばかりのニセコパノラマラインでは、残雪を滑ろうと熱意を見せるスノーボーダーや山スキーヤーの姿がありました。

6月4日は千歳マラソン。30数km地点まで森の中の土の道で、森林浴しながら走るようなすてきなコースです。北海道の空気、景色、そしておいしい海の幸と春の恵みのおかげか、スタートからゴールまで気持ち良くマイペースで走り続けることができました。仕事上、活性酸素の害とそれに打ち勝つ方法などについて調べたり書いたりすることがよくありますが、このマラソンではまさにそれを実感したようでした(何かデータをとることができたらおもしろいのですが、印象だけでは仕事になりません・・・残念)。

明日からサッカーワールドカップ大会が始まります。TV観戦のおともに、ドイツの味はいかがでしょう。函館元町の一画に、蔦で覆われたレイモンハウスがあります。旧ドイツ(現チェコ共和国)カルルズバード生まれで食肉加工マイスターのカール・レイモンさんが、1920年代に函館で始めたハム・ソーセージづくりは、いまもその技術と味を忠実に受け継ぎ、レイモンさんのソーセージとして全国のファンから親しまれています。レイモンハウスは1階が製品の販売とイートイン、2階には今年4月にオープンしたばかりのカール・レイモン歴史展示館となっており、隣にはレイモンさんの自宅が残されています。自らを「胃袋の宣教師」と称したカール・レイモンさんのハム・ソーセージを店頭で買えるのは、函館と札幌だけですが、通信販売では全国に発送してもらえます(函館カール・レイモン http://www.raymon.co.jp/)。

最後に2010年バンクーバーオリンピック情報をひとつ。
プレスレリースによれば、アイスホッケーの試合が行われるリンクには、男女とも国際規格ではなく北米規格のサイズが採用されるということです。北米規格のリンクは60m×26mと国際規格のリンク(60m×30m)よりやや狭く、既存のリンクを国際規格に広げるとすれば、それだけ余分な建設資金と資材が必要なだけでなく、氷のコンディションを一定レベルに維持することが難しいとされます。このオリンピックでは、環境維持(environmental sustainability)をモットーの1つとしており、できるかぎり既存の施設を使い、環境への余分な負荷を減らす工夫をしています。北米規格を採用することで、リンクサイズを広げる場合と比較して1会場の観客席を350から800席多くできる(全試合の合計では約35000席増)というメリットもあります。気になる選手への影響ですが、トリノオリンピックに出場した選手のデータによれば、男子選手の53%が北米サイズのリンクでレギュラーシーズンをプレイしており、女子に関しては国際試合の多くがすでに北米サイズで行われていて、1990年以来の世界選手権では9試合中5試合が北米サイズだったということで、影響は心配ないというのが当局による発表です。もちろん、アイスホッケーを国技とするカナダは、ぜひとも北欧チームを破って金メダルを獲得したいわけですが、ヨーロッパ勢からの反発に今後注目しましょう。

心を和ませてくれるあれこれ、憤るあれこれ2006/06/16 11:45


昨日の豪雨とはうってかわり、今日の京都は暑さの厳しい1日となりそうです。
みなさまの地域ではいかがでしょうか。

今月上旬の北海道道南旅行では、行く先々で新緑とともにきれいな花に心が和みました。写真は、先週につづき大沼公園のツツジです。6月1日より8月31日まで、「はなたび北海道」と銘打って全道各地で花の見頃に合わせたイベントやスタンプラリー、フォトコンテストなどが行われています。この時期、北海道にいらっしゃる方は、ぜひ目的地の花情報に注目してみられてはいかがでしょう。はなたび北海道については、次のサイトでごらんになれます。 www.hanatabi.net

私は大学時代、生物を学んでいましたが、花については専門ではありませんし、いまは自分で育てているわけでもありません。でも、花はいいなあと思うことが最近増えています。春の梅や桜にはじまり、四季折々、また地域によってさまざまな花に出会うことは、その時その場所でしか見られないという特別なうれしさがありますし、あるいはプレゼントとして花屋さんに花束やアレンジメントをつくってもらうこと、駅などでこの頃よく見かける気軽なフラワースタンドで小さなブーケを買うことも、ちょっとうきうきした気分になれます。そしてなんと言っても、花を贈られることはすてきですね。先月、世界女性スポーツ会議に出席した際、歓迎レセプションは「卓盛」という中華料理のスタイルに似た熊本ならではの食事をいただきましたが、料理がのせられるターンテーブルの中央にこんもりとバラやガーベラなどが飾られていました。レセプション終了後、「テーブルの上の花はぜひお持ち帰りください。熊本市のフラワーアレンジメントクラブの女性が手作りしました」といったアナウンスが流れ、手にとってみると大きなテーブルフラワーだと思っていたのは手のひらに乗るほどの小さなブーケを寄せ集めたものでした。いただいたブーケは3泊4日の熊本滞在中、ホテルの一室を明るくしてくれましたし、自宅に帰ってからはドライフラワーにして、いま仕事をしているパソコンの上にのせて楽しんでいます。熊本のみなさんの心のこもったおもてなしを、いつも思い出しています。

さて、話が一転しますが、昨日はちょっと腹の立つことがありました。仕事の打合せのため、大阪に出かけた帰路、大雨の中、横断歩道を駅に向かって急いで渡り終えたその時、突然、マイクを持った女性とTVカメラ、ライトをそれぞれ手にした人たち3、4人ほどに囲まれました。人数がよくわからないのは、レポーターと見られる女性の顔とマイクがいきなり至近に迫ったからで、同時に「朝日放送ですが、プール熱って知ってますか?」とまるで事件の容疑者の取材か芸能人のプライベートをスクープするかのようなハイテンションで問いかけてきました。プール熱がなんなのか、知ってるのか知らないのか、答えようという気持ちはまったく起きませんでした。正直に言うと怖いような気持ちで、漠然ながら「いまこの瞬間に私の顔とコメントが何かの番組で流れるワケ!? なんの権利でこの人たちはそんなことをしようとしてるワケ!?」という疑問?憤慨?、何とも表現しがたい感情が一気に沸いて、「え?」と言って立ち止まったところ、私が質問を聞き逃したと思ったのか、レポーターは「プール熱って知ってますか? いま話題なんですけど」みたいなことを繰り返したのです。そこではじめて、答える必要はないと気づいて「けっこうです」と立ち去りましたが、たぶんこの間、ほんの10数秒ではなかったでしょうか。

私もメディアに関わる仕事をしているひとりとして、取材のありかた、伝え方について日頃から考え、私なりの基準(というほど確固としたものではなく、心構えのようなものですが)をもって仕事しています。個人のプライバシーにずかずかとことわりもなく踏み込むような取材・報道については、すでに多くの批判、議論がなされていることですので、ここには書きませんが、私は昨日の個人的な小さな体験でさえあれほど不愉快な気持ちにさせられたことを、今後忘れないつもりです。自分の所属を(ともかくも)名乗ったから、あとは勝手に質問をし、発言を録音し、肖像を撮影し、それらを自分たちのビジネスのために使ってよいというのは、大変な「おごり」です。また、どちらかといえば日常生活の中の平凡な話題について平凡な市民に意識調査しようというような位置づけと思われる取材を、特ダネスクープかのように突然、至近距離まで走り寄ってマイクとカメラとライトで囲むことで、何を得ようと期待しているのでしょうか。おろおろする顔? 落ち着いて考えればわかることも、とっさに口をついて出てしまった失言・誤解の発言? ちなみに、プール熱については今朝の毎日新聞家庭欄にも大きく取り上げられていましたので、どこかから最近の問題としてマスコミ各社に話題提供されたのかもしれません。
この頃、マスコミの報道では、そんなことまで取材して、伝えなくったっていいのじゃないか、と思うことが度々あります。私が最も憤っているのは、子どもが被害にあった事件で、子どもが残した作文や絵、生前のスナップ写真、事件現場で子どもがどんな様子で発見されたか、などの公開。

何でもかんでもネタにしようというメディアの「おごり」、個人の人格や権利はメディアのためには省みなくてもよいと思っているかのような「おごり」。「伝える」という仕事をしている者として、ではどのように、何を伝えるべきか、という問題がいつも心の中にあり、よくわからなくなりつつあるこの頃です。

腹を立てた話はここまでにして、気持ちを切り替えましょう。先の旅行の際、函館朝市でカニや解禁になったばかりのウニや、函館ならではのイカなど、あれこれ試食したり冷やかしたりした後、両親がスポンサーとなって海の幸詰め合わせを今日、届くように注文しました。もうすぐ私の誕生日なのです。今日、宅配便で受け取って、週末いただこうという計画です。わくわく! 次回このブログでは、魚のおいしさについて語ってみようと思います。どうぞお楽しみに。 コロンビアにいるメル友のローラちゃん(実は、日本の高校2年生に相当する学年でした)からは、「誕生日まであと○日」というカウントダウンメールが日々送られてきます。年齢が増えるのはもうあまりうれしくありませんが、祝ってくれる家族や友人がいることはうれしいです。

6月の贈り物2006/06/22 12:53


京都はしとしとと雨が降り、梅雨らしい朝になりました。

先週の更新では、大雨のあと暑い日になったと書きました。この天候のおかげで、すばらしいできごとがありました。
K’sの近くには、琵琶湖から京都に水をひく疎水の分流が流れています。毎年春には、この疎水分流沿いで見事な桜が見られますが、実は初夏には蛍も見られるのだということを今年初めて友人から聞きました。そこでこの日の夜、そろそろよい時期かなと見計らって、ジョギングがてら蛍のようすを見に出かけてみました。そうしたら、付近に住んでいらっしゃる方はやはりご存じなんですね(私も10年ほど住んでいますが・・・)、橋の上や茂みが切れて流れをのぞき込めるところで、多くの人が蛍を愛でていました。
それはもう、驚くような光景でした。京都の蛍といえば、哲学の道沿いの疎水が知られていますけれど、これまで何度か私が哲学の道で見た蛍は、じっと目をこらせば時たま光る、という程度だったのに対して、その日はもう光の乱舞。ゆらゆら、ふわふわ、と飛びながら、何匹もの蛍が同調して光ります。わーっと歓声をあげる人もいますが、その後はみんなひそひそ声になるのはなぜでしょう? 地元の方が話しているのをそばで聞いたところでは、前日まではほとんど出ていなくて「今年はあかんのかな」と思っていたとか。雨が降ったことで一斉に蛍が出てきたようなのです。

桜の時期も、賀茂川の人だかりに対してこの疎水分流は穴場という感じでしたが、蛍についても同様です。ふだんから、ゴミを片付けたり、雑草の手入れをしたりと、地元の方がこの疎水を大事にされている訳がようやくわかりました。こうして四季折々の風物を町中でも感じられるところは、京都のよいところだな、と改めて感じました。

蛍を見てうっとりした後は、お待ちかねの函館海の幸。
今日の写真は蛍だったらよかったのですが、目で見たように光のゆらめくさまを写すことは無理なので、花より団子となってしまいました。これは、函館朝市で注文して届いたものではなくて、先日、函館市湯の川で宿泊した漁師宿「民宿 北洋」さんで夕食にいただいた舟盛りです。『函館ならではのお刺身をご希望の方には、海鮮料理コース(1泊2食付¥8,400 人数限定)をおすすめ致します。海の幸をたっぷり召し上がれます。』という北洋さんのウェブサイト(http://www.tabi-hokkaido.co.jp/hokuyo/index.html)のオススメにしたがって頼んだもので、4人前です。他にもババガレイの煮付け、サメの酢の物、天ぷら、などなど食べきれないほどの(もちろん、実際は食べきりましたが)海の幸がつきました。とても2食付でこのお値段とは思えません。御礼もかねてご紹介します。機会がありましたら、ぜひみなさまも湯の川を訪ねてみてください。

朝市では、楽天ショップもある「はこだて浪漫館」(http://www.rakuten.co.jp/romankan/)さんで注文しました。お得な詰め合わせセットもありますが、お願いして好きな物をセット料金で無理につくっていただいてしまいました。殻付のホタテ、あぶらがのったホッケ、メロンなど、16日の晩から毎日少しずつ食べて今日まで楽しんでいます。 あ~幸せ!!!

ではここで、以前に書いた文章から、魚に関するエッセイを転載します。自著「ウニの赤ちゃんにはとげがない」(恒星出版)に書いたヒラメとカレイの眼に関する文章と、企画編集に関わった「うまさ究める」(かもがわ出版)に書かれた刺身のおいしさに関する文章をもとに、「日本の老舗」という冊子に寄稿したものです。
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[ヒラメにカレイ 眼とおいしさの秘密を探る]

■ヒラメとカレイの区別
「左ヒラメに右カレイ」といわれるように、眼の位置が体の左右どちらかに偏ってついているヒラメやカレイ。眼の位置が違うだけなのに、片や刺身やすしの高級ネタ、片や煮付けやフライなどの家庭料理の材料というのは不公平な扱いだが、ともかく分類学では眼が体の左側にあるのがヒラメ科、眼が体の右側にあるのがカレイ科とされている。ただし、ヒラメ科の中にはメガレイやテンジクガレイなど名前にカレイとつくものがいるのでややこしい。「舌平目のムニエル」のシタビラメはカレイ目のなかのウシノシタ亜目というグループで、両眼が左側にある「ヒラメ型」だ。(*注:科・目などは分類学上の単位)
 カレイやヒラメは意外なことに、生まれたときには普通の魚と同じように左右対称の姿で、海中をすいすい泳ぐことができる。体長が10ミリを超え始めると、眼が体の片側に移動しはじめ、生活の場も海底に移る。やがて眼の移動が終わると、体色は下になる側で色素を失って白くなり、上になる側では斑紋などが浮かび上がる。そして、横になって泳ぐようになるのだ。
 ここで疑問が起こる。一体、眼はどうやって移動するのだろう? 

■どうやって目が移動するのか?
 一番あり得そうに思えるし、実際にヒラメ科とカレイ科で起こっているのが、片方の眼が頭の上を通って反対側に移動してくるやり方。この場合、両眼を隔てている頭骨の一部が一時的に吸収されて、眼の移動を助ける。しかし他の移動法もある。ダルマガレイ、ウシノシタ、ササウシノシタというグループでは、眼と眼の間にスリットができ、そこを通り抜けて眼が移動してくる。なかには驚くことに、眼が頭の中を貫通して移動するものさえあるという。
ところで、脊椎動物においては左右の眼球につながっている視神経繊維の束は、脳に向かう途中で交差している。カレイやヒラメの場合、右眼からの神経繊維の束は左脳に、左眼からの神経繊維の束は右に伸びるといった具合に完全にクロスする。ここで右眼の視神経が上に重なっているのが「ヒラメ型」で、左眼の視神経が上に重なっているのが「カレイ型」なのである。移動する眼の方が上になっているということだから、視神経が遠回りしたり絡まったりすることがないよううまくできている、ということだろうか。眼が移動するとき視神経がどんなふうに移動しているか想像してみよう(頭の方が絡まる?)。

■刺身をおいしく食べるには
生物学のお話の後は栄養学。刺身は鮮度が命と言うが、活け作りよりはちょっと時間をおいた方が本当はおいしいということが、科学的データによって示されている。魚の旨味(うまみ)成分は主にグルタミン酸とイノシン酸という物質だ。京都大学名誉教授の坂口守彦さんがハマチの刺身で実験したところ、刺身に含まれるグルタミン酸の量は鮮度と無関係である一方、イノシン酸は死後約四時間後から急増し、14~16時間後に最大となり、その後ゆるやかに減少した。つまり、刺身は活け作りよりもしばらく寝かせてから食べる方が旨味が強いということなのだ。また、刺身のおいしさとして重要な歯ごたえについて、計器を用いて測定したところ、活け作りのものが最も硬く、時間の経過とともにどんどんやわらかくなる。つまり、活け造りはこりっと歯ごたえは良いが旨味に乏しく、時間が経過すると旨味はあるが歯ごたえがおちる。うま味と歯ごたえの両方からみれば、刺身の食べごろは、ハマチでは活けしめ後、8時間から12時間前後、ヒラメでは半日から1日程度寝かせた後ということになるという。イノシン酸は魚の身を加熱しても生じる。寝かせると臭みが出るカツオや、イノシン酸が増えるより先に身がやわらかくなりすぎるハモは、新鮮なうちにさっと加熱すると旨味が増す。筋肉の硬いカツオをたたきに、ハモは骨を切って湯引きにする技である。
刺身は用意した。さてもっとおいしく食べるために必要なものはといえば、しょうゆ(または塩)、あるいはコブ〆めで食べるという方法もある。スイカに塩を少しふると甘味が増すことからもわかるとおり、塩はたんに塩味を付けるだけでなく、他の味を引き出す重要なはたらきをする。しょうゆなしには、刺身は旨くも何ともない。
食品に含まれる旨味成分、つまりダシにはグルタミン酸(昆布、野菜に多い)、グアニル酸(同、キノコ類)、イノシン酸(同、肉・魚類)など種類があり、異なるダシを合わせると1+1=2以上に旨味が強くなる(旨味の相乗効果)。昆布とカツオのダシを合わせて使うのは生活の知恵だが、実験で測定すると、グルタミン酸とイノシン酸を合わせることによって濃度換算にして十数倍の味になるという。ヒラメを昆布でしめたり、野菜、キノコと肉や魚を炊き合わせた鍋料理は、まさにこの相乗効果を生かした調理法なのである。
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先日、誕生日の日の朝に、サプライズがありました。コロンビアから国際電話がかかってきたのです。メールで文通しているローラちゃんとお母さんから、お祝いのメッセージでした。半年ぶりに話すので、照れていたようすなのもかわいいのですが、さらにメールでは、I hope all your wishes and dreams come true, because you deserve it,というメッセージ。「心が伝わる文章」、ではなくて「母国語でない文章にもにじみ出る真心」を、コロンビアの高校生に教わる思いです。
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